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導入
自分は大学生時代、競技としてのマジック:ザ・ギャザリング(以降マジック)に魅力を感じ日本で行われたグランプリ等に積極的に参加していた。
しかし、「エルドレインの王権」が出る少し前の「基本セット2020」までのプールを使用して行われた「マジックフェスト・千葉2019」と「日本選手権2019」に出場したのを最後に本腰を入れてトレーディングカードゲーム(以後TCG)をやることは無くなっていた。
TCGから離れた理由としては、前述した「マジックフェスト・千葉2019」では3-4、「日本選手権2019」で1-4という振るわない成績で終えたことや「エルドレインの王権」にて《王冠泥棒、オーコ》が登場してやる気が無くなった。ということはではなく、その辺りで「MTG アリーナ」が本格的に普及しメタゲームの回転がこれまでの何倍も早くなり、丁度その時仕事やリアルの他の事案が忙しくなって、メタゲームに追いていくための時間や金銭面でのリソースをマジックへ割くことが難しくなったことが原因だ。
最終的に「日本選手権2019」に出場した2019年9月7日以降、そのままフェードアウトして本腰を入れてTCGをプレイすることはなかった。
そんな自分が3年振りに本格的にTCGもといポケモンカードをはじめるきっかけとなった3つの理由を今回は話していきたい。
ポケモンカードを始めてまだ1ヶ月位で大会に出たことも無く友人と何度かフリープレイをした程度なので的外れなことも多々あると思うが、自分個人の意見として発信させていただく。
理由1.一人回しが他のカードゲームに比べて重要である
ポケモンカードを始めてから1ヶ月くらいしか経っていないが他のTCGに比べて一人回しがとても有益なものに感じる。
何故ならば、自分はある仮説を持っているからだ。
仮説:ポケモンカードゲームはタスク消化形式のカードゲームである
ポケモンカードをプレイしていると、『次のターン《ボスの司令》要求にしてそれを相手が持っていなければ勝ちだ!』
というように相手に特定のカードを要求させてそれを相手がクリアできなければ勝ちという盤面によく遭遇する。
プレイを繰り返していく内に自分の中で「ポケモンカードがタスク消化形式のカードゲーム」なのでは無いかという仮説が立った。
「ポケモンカードがタスク消化形式のカードゲーム」ということを説明する前に、基本的にポケモンカードのデッキを構成するカードの役割は大まかに分けると以下の4種類になるという考えに触れさせていただく。
- デッキの核となり勝利する上で必須のカード(例.《ミュウVMAX》)
- デッキの回転を補助し必要なカードへアクセス出来るカード(例.《クイックボール》)
- 相手のプレイの要求値を上げるカード(例.《大きなおまもり》)
- 特定のデッキに対して効果は抜群で要求値の引き上げや盤面打開に貢献カード(例.《ドラピオンV-ワイルドスタイル》)
これらのカードをプレイすることが勝利に向けて必須の行動であり、近道ともなる。
そこで自分は『カードをプレイすること=タスクを消化する』という認識で考えを巡らせ、以下の図のような考えに至った。
今まで経験してきたTCGはマジックや遊戯王のような自分の手番であっても相手から何かしらのアクションが行われるような形式が多かった。
それに対してポケモンカードは自分の手番に相手からの介入がほぼ無く、基本的には自分のデッキを最大効率で回すことに集中して理想とする盤面を構築し、相手への要求値を高めて最終的に相手がそれをクリアできるかを問うゲーム性になっている。イメージ的には詰将棋に近いかもしれない。
そのため、ポケモンカードは対戦開始時点で上記の図のようにタスクが下から順に積まれており、やるべきことがある程度明確化されていると自分は考えている。
それが使用するアーキタイプや試合展開によってリアルタイムにタスクの順番や個数が変動し、如何にタスクを先に消化して勝利に辿り着くことを出来るかを目指すのが、ポケモンカードで勝てるようになる近道であり「ポケモンカードがタスク消化形式のカードゲーム」と表現することの根底にある自分の考えだ。
前述したカードの役割とタスクの色の結びつけ
ここで、前述したカードの役割とタスクの色の結びつけに対して触れさせていただく。
- デッキの核となり勝利する上で必須のカード(例.《ミュウVMAX》)
- デッキの回転を補助し必要なカードへアクセス出来るカード(例.《クイックボール》)
これらのカードは赤タスクの消化を担うカードで基本的にこれらを活用できない場合は負け=デッキが回らない、事故ることに直結する。
そのため、これらのカードの使用方法を理解することがまずは重要な一歩となる。
- 相手のプレイの要求値を上げるカード(例.《大きなおまもり》)
これらのカードは黃タスクを消化し、相手に対して赤タスクを積む=要求値を上げて相手の行動を縛り、抑止力となる。
例で取り上げている《大きなおまもり》を使用すると相手に対して《ダンデ》《こだわりベルト》などの技のダメージを上げるカードの使用という赤タスクを積むことが出来、行動の制限をかけられる。
- 特定のデッキに対して効果は抜群で要求値の引き上げや盤面打開に貢献カード(例.《ドラピオンV-ワイルドスタイル》)
例で取り上げている《ドラピオンV-ワイルドスタイル》のように特定の相手(【ミュウVMAX】)に対して有効に働き、黃タスクよりも相手に多くの赤タスクを積んだり、自身が抱えている赤タスクを一気に複数消化できる可能性があるカードである。
ただし、デッキ内の多く入れ過ぎるとデッキの回転率を下げることになり、結果的に自身の赤タスクを消化できなく敗北を喫する場合もあるので注意が必要。
アーキタイプを例に挙げて説明
今回は現環境で上位のシェアを占めている
- 圧倒的な先行必勝ムーブを有し、少ない赤タスクを消化するだけで勝利に直結する【ミュウVMAX】【裏工作パルキア】
- 試合前半で下準備が必要であるが後半は強力なカードが使用でき、後攻でも幅広い盤面に対応できる【ロストギラティナ】【ロストバレット】
を例に出して説明していく。他に説明に適切なアーキタイプがあるかもしれないが長くなるのでここでは言及しない。
圧倒的な先行必勝ムーブを有し、少ない赤タスクを消化するだけで勝利に直結するデッキの場合
基本的にポケモンカードは先行有利のゲームであるが、その上でも先行を取ることでより有利となるデッキが存在する。
- 【ミュウVMAX】
先行で《ミュウV》や《ゲノセクトV》などのフュージョンポケモンを並べ、《ゲノセクトV》の特性:フュージョンシステムを活用してデッキを回し、展開に必要なカードを整える。
2ターン目以降は《ミュウVMAX》に進化し、《ボスの司令》などで相手のベンチに居る進化準備中のポケモンVをバトル場に出し、それを討ち取って「サイドレース」を有利に進める。
《ギラティナVSTAR》などの高HPポケモンと対面した場合でも《パワータブレット》《こだわりベルト》などを使用することによって突破することが可能なこともこの圧倒的な先行ムーブの強さに起因している。
- 【裏工作パルキア】
先行で《オリジンパルキアV》と《メッソン-どんどんよぶ》を展開し、2ターン目以降に《ジメレオン-うらこうさく》・《インテレオン-うらこうさく》の特性:うらこうさくを活用し、安定して《オリジンパルキアVSTAR》を成立させる。
デッキ全体が複数体の《オリジンパルキアVSTAR》の成立に寄与するように組まれており、後攻2ターン目以降に高打点を継続して叩き出すことが出来る。
上記の【ミュウVMAX】【裏工作パルキア】のような必勝ムーブの再現性が高いデッキは一つの赤タスクを消化することで得られるアドバンテージが多く、他のデッキよりも少ない赤タスクを消化するだけで勝利することが出来る。
ただし、デッキ内の固定パーツが多くデッキの動きが必然的に固定化しやすい傾向があるため相手に青タスクの消化(特定のメタカードの使用)をされた場合に積まれる赤タスクの量が多くなる特徴もある。
試合前半で下準備が必要であるが後半は強力なカードが使用でき、後攻でも幅広い盤面に対応できるデッキの場合
- 【ロストギラティナ】
- 【ロストバレット】
上記の2つのデッキは前半どちらも《キュワワー-はなえらび》や《アクロマの実験》を複数回使用し「ロストゾーン」にカードを溜めて《ギラティナVSTAR》《ミラージュゲート》《ヤミラミ-ロストマイン》などの強力なカードの使用を行うことで後半で一気にアドバンテージを取れる赤タスクを消化し、勝利を目指す。
【ロストギラティナ】の場合は、現環境で最もカードパワーの高いVSTARポケモンである《ギラティナVSTAR》を成立させ、試合中盤~終盤で相手に非常に多くの赤タスクを積ませることが出来、詰みの条件を整えやすい。
【ロストバレット】の場合は、【ロストギラティナ】よりも入れ替え札などのデッキを回転させるカードが多く入っていることで後攻1ターン目から《ウッウ-ロストプロバイド》のわざを使用しテンポを取ることに長けているのと、全体的に《非エク・非Vポケモン》で構成されているのでバトル場のポケモンが倒されても立て直しが図りやすい&手札から出したターンに機能するカードが多いので相手の意表を突きやすい特徴がある。
この2つのデッキに関しては構築の幅が広く、派生先も多い。そのため、青タスクを消化できるようなカードを投入しやすく幅広い盤面に柔軟に対応できるのも特徴の一つだ。
ただし、前述したように試合前半に消化しなければならないタスクが多く、ゲームレンジが長めであるため適切なプレイングや環境への理解度などが必要になり、安定して勝てるようになるまでに多くの練習が必要になる。
結論:ポケモンカードの一人回しは、そのデッキの消化できるタスクを理解する作業である
では、何故ポケモンカードは一人回しが他のカードゲームに比べて重要であるのだろう。
その答えが、「ポケモンカードがタスク消化形式のカードゲーム」であるが故にそのデッキで消化できるタスクは決まっているからである。
デッキを回すためのカードが入っており、それで赤タスクを消化できるか、相手の要求値を上げる黃タスク・青タスクの消化が可能なカードが適切な枚数入っているか。
さらにポケモンカードは3戦2勝の形式ではなくガチンコの1回勝負が故に構築のクオリティを上げることは他のTCGに比べて重要であり有益な作業である。
そのため、そのデッキで消化できるタスクをそもそも理解していなければ試合本番でデッキの力を発揮できず敗北を喫することは遠くない未来として透けて見えるのだ。
また、ポケモンカードをプレイしていて驚いたのが自身のデッキに触れる頻度の多さだ。今までやってきたどのTCGよりも山札からのサーチや捨て札からの回収など、カードに触れて行わなければならない動作が多く1ターンに時間がかかる。そのため、一人回しを事前に行いデッキの理解度を上げておくことで対戦相手と自分が時間と精神的な余裕を持ってプレイでき、紳士的なプレイを心掛けることが出来るのも重要な点の一つだ。
子供が産まれて1ヶ月に何度も対人戦が出来る環境では無くなったため、一人回しが有益であることは自分にとって非常に満足度が高く、前向きにTCGに取り組める一つの要因となっている。
理由2.他のカードゲームに比べて安価で環境上位のデッキを組むことが出来る
まず、遊戯王とマジックは自身の青春時代を彩ってくれ、多くの交友関係を築いてくれたTCGであり今プレイしても非常に面白く、時間と金銭面でのリソースが確保できるのであれば今も喜んでプレイしたいということを記しておきたい。
遊戯王とマジックは、メタゲームの回転によるカードの賞味期限が短かった。
特に社会人になって「MTG アリーナ」がリリースされてからはそれが顕著で、1,2週間もしくは1ヶ月に1回の大会出場に対してそれらの賞味期限が短い可能性のある高価なカードを買い揃えて大会に望まなければならないというのは一人暮らしをする社会人にとって厳しいものであった。それらの買ったカードで勝てるならば良い、だが、負けた時は資産価値と共に賞味期限切れを感じざる負えない。
そのため、負けたときの苦しさと言ったら学生時代の比ではなかった。どうしてこんなに無駄なお金と時間を消費してしまったんだと思うこともあった。
それが今では家庭を持つようになり時間と金銭面のリソースもそちらを優先して割かなければならないため、一人暮らしの社会人時代のように「環境上位のデッキを沢山組んで沢山お金と時間を使いましたが何も得られませんでした」では自分の中で済まなくなってしまった。
カジュアルに只々仲間内でプレイして満足できれば良いのだが、なんだかんだTCGやるからには勝ちたいし名誉も得たいのだ。そう考えるとやはり「マジックフェスト・千葉2019」と「日本選手権2019」の結果は自分に効いたのかもしれない。
その点でポケモンカードは環境上位のデッキを組んでもレアリティを気にしなければ1万円もしないことが多く、グッズやサポートカードが非常に汎用的で他のデッキも組みやすいというのは金銭面での不安を払拭でき、大変ありがたかった。
理由3.親しい友人たちがポケモンカードをプレイしている
金銭面での不安は払拭できている、だが時間面ではどうだ。
一人の時のポケモンカードに対する時間は前述した、自分の考えを持った一人回しやこのようなブログでのアウトプットである程度担保が出来るが対戦経験だけはそうもいかない。
社会人なりたての頃にマジックをプレイしていた際は平日休みで土日仕事だったため、一緒にプレイしていた友人たちと時間が合わずプレイする頻度は少なくなってしまった。
その後、土日休みの仕事に転職したが前述したように仕事などが忙しくなって「日本選手権2019」を最後に友人たちとプレイする機会も減ってしまった。
唯一、自分の胸を張って誇れる自慢の一つなのだが高校生時代にTwitterで知り合った10年来の友人たちとの付き合いがあり、月1回の会合も定期的に開かれている。
その会合の際や自分の最寄り駅等に友人に来てもらったりしてポケモンカードをプレイすることが出来ている。
何歳になってもTCGを続けられる最大の理由の一つとして「仲の良い友人と一緒に遊べる」というのは不変なもので、大変ありがたく、楽しいものだ。
いつも自分の時間などを考慮して都合をつけてもらっていて本当に感謝以外の言葉が見つからない。この場を借りて友人たちと妻には感謝を述べさせていただきたい。
最後に
現在はありがたい事に切磋琢磨出来る環境が整っているのでそれを大事にして自分が使える時間の範疇でポケモンカードに対して真摯に向き合っていきたいというのが今の自分の本心だ。
しかし、それが妻と子供の負担になっては本末転倒なのでポケモンカードをプレイする前は必ず家事は全て終わらせてからプレイするようにしている。
夫婦はお互いに対等な立場でならないと自分は思っているので片方が遊んで片方に家事が寄ってしまうという状況は避けたいので必ず両方が子育て含め家事全般を行えるように協力するというのが自分の信条だ。
新弾後だけどシティリーグ受かった pic.twitter.com/Vv5zKlUOQ7
— ryasu (@Renakyon) October 5, 2022
ありがたい事にシティリーグにも当選出来たので初めての大会に向けて調整を頑張っていきたい。
初めてTCGに関する自分の考えをアウトプットできてスッキリした。
「ポケモンカードがタスク消化形式のカードゲーム」だと長いので今後ブログで取り扱う時は「タスク消化式ポケカ」という名称で扱おうと思います。
また次の記事で会いましょう。